○薩摩川内市消防局救急業務規程
平成16年10月12日
消防局訓令第25号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 救急隊(第4条―第8条)
第3章 業務管理(第9条―第11条)
第4章 救急活動(第12条―第36条)
第5章 健康管理等(第37条―第39条)
第6章 救急教育及び指導(第40条―第42条)
第7章 調査等(第43条)
第8章 報告等(第44条・第45条)
第9章 統計(第46条)
第10章 雑則(第47条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)に基づく救急業務の実施について必要な事項を定め、救急業務の能率的な運営を図ることを目的とする。
(1) 救急業務 法に定める救急業務をいう。
(2) 救急事故 救急業務の対象となる事故及び疾病をいう。
(3) 救急現場 救急業務の対象となる傷病者のある場所をいう。
(4) 救急活動 救急業務を実施するための行動、又は医療用資器材等を輸送する行動で、救急隊の出場から帰署(所)までの一連の活動をいう。
(5) ドクターヘリ 鹿児島県が運航するヘリコプターであって、救急医療に必要な機器等を装備し、医師等が同乗することにより救急医療が可能な救急専用のものをいう。
(6) 防災ヘリ 鹿児島県が運航するヘリコプターであって、消防防災活動に必要な機器等を装備し、救助隊員等が同乗することにより消防防災活動を行う専用のものをいう。
(7) 医療機関 医療法(昭和23年法律第205号)に定める病院、診療所及び助産院をいう。
(8) 救急資器材 救急業務を実施するために必要な器具及び材料をいう。
(9) 関係機関 救急業務に関係ある機関及び団体をいう。
(10) 関係者 救急業務の対象となる傷病者の親族、同僚等又は事故の当事者をいう。
(11) 救急業務等 救急業務及びその他救急業務実施上必要な業務をいう。
(救急業務指針)
第3条 救急業務は、傷病者の生命維持及び症状の悪化を防止するための最善の措置を講ずることを指針とする。
第2章 救急隊
(救急隊員の資格及び指名)
第4条 消防署長(以下「署長」という。)は、次の各号のいずれかに該当する消防職員(以下「職員」という。)の中から救急隊員を指名するものとする。
(1) 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第44条第3項第1号の課程を終了した者又は同項第2号により定める者
(2) 消防学校の教育訓練の基準(平成15年消防庁告示第3号)別表第2の6救急科の専科教育を修了した者
(3) 救急救命士法(平成3年法律第36号)第3条の規定により厚生労働大臣の免許を受けたもの(以下「救急救命士」という。)
(救急隊員の編成)
第5条 救急隊は、救急隊員3人以上をもって編成し、救急自動車1台を備えるものとする。
2 救急隊の隊長(以下「隊長」という。)は、消防士長以上の階級にある者をもってあてる。
3 署長は、第1項の規定による救急隊員の他に予備の救急隊員を指名し、編成しておくものとする。
(救急隊員の任務)
第6条 救急隊員は、救急業務を実施するとともに、救急に関する事務の処理及び救急資器材の維持管理を行うことを任務とする。
(救急隊員の心得)
第7条 救急隊員は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 救急業務に関する法令について
(2) 救急業務の重要性を自覚し、救急知識の修得及び救急技術の練磨向上に努めること。
(3) 救急業務の実施に際しては、懇切丁寧を旨とし、傷病者にしゅう恥又は不快の念を抱かせることのないよう言動に留意すること。
(4) 救急業務上、知り得た秘密を他に漏らさないこと。
(5) 応急処置に際しては、適切な判断により行うこと。
(6) 常に救急資器材の点検及び整備を励行し、使用に際しては適正を期すること。
(7) 救急自動車の運転は、安全を旨とし、特に傷病者の状態に応じた運行に配慮すること。
(8) 常に身体及び着衣の清潔保持に努めること。
(救急隊員の服装)
第8条 救急隊員が救急業務を実施する場合の服装は、薩摩川内市消防職員被服等貸与規則(平成16年薩摩川内市規則第256号)に定める救急服、保安帽及び短靴とし、必要に応じて感染防止衣を着用するものとする。
第3章 業務管理
(救急業務等の管理責任)
第9条 警防課長(以下「課長」という。)は、この訓令の定めるところにより、管内の救急事情の実態を把握し、救急業務の適正な執行態勢を図り運営に万全を期するものとする。
2 署長は、この訓令の定めるところにより、管轄区域内の救急事情の実態を把握し、所属職員の指揮監督を図り、救急業務の適正な運営に万全を期するものとする。
(関係機関等の連絡調整)
第10条 課長及び署長は、救急業務の効率的な運営を期するため、関係機関等と常に密接な連携を図るものとする。
(救急資器材の適正な配置及び管理)
第11条 課長は、救急資器材の需要状況及び地域的救急事象を勘案し、救急資器材の適正な配置を行うものとする。
2 署長は、配置された救急資器材の効果的な活用を図るため、常に点検及び整備を行い適正な維持管理に努めるものとする。
第4章 救急活動
(出場救急隊の指定)
第12条 出場救急隊の指定は、救急現場に最も近い救急隊から順次出場するものとする。ただし、直近順が困難な場合は、別に定めるところにより出場するものとする。
2 消防相互応援協定に基づく場合、又は消防局長(以下「局長」という。)が特に認めた場合は、他の市町村等であっても出場するものとする。
(救急隊の出場)
第13条 救急隊の出場指令は、薩摩川内市消防局消防通信規程(平成16年薩摩川内市消防局訓令第7号)によるものとする。
2 署長は、救急事故の発生を覚知した時、又は出場指令を受けた時は直ちに所属の救急隊を出場させるものとする。
3 救急活動中に、他の救急事故に遭遇したとき、又は救急自動車若しくは救急隊員に事故等が生じたときの措置等については、別に定めるものとする。
(救急活動の原則)
第14条 救急活動は、救命を主眼とし、傷病者の観察及び必要な応急処置を行い、速やかに適応する医療機関その他の場所に搬送することを原則とする。
(観察等)
第15条 救急隊員は、応急処置を行う前に、傷病者の症状に応じて救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号。以下「応急処置等の基準」という。)第5条第1項及び第2項に定められた観察等を行うものとする。
2 救急隊員は応急処置等の判断に資するため、傷病者本人又は関係者から主訴、原因及び既往症等を聴取するものとする。
(救急隊員の行う応急処置)
第16条 救急隊員は前条の観察等に従い、傷病者を医療機関その他の場所に収容し、医師の管理下に置かれるまでの間又は救急現場に医師が到着するまでの間において、傷病者の状態その他の条件から応急処置を施されなければ、その生命が危険であり、又はその症状が悪化するおそれがあると認められる場合に、応急処置等の基準第6条に定める応急処置を行うものとする。
(医師の指示)
第17条 救急救命士は、救急救命士法第44条第1項に定める救急救命処置を実施する場合には、医師の具体的な指示を受けるものとする。
2 救急救命士は、前項の救急救命処置を実施したときは、救急救命士法第46条第1項の規定により救急救命処置録を作成するものとする。
3 署長は、救急救命士法第46条第2項の規定により前項の救急救命処置録を5年間保存するものとする。
(事後検証)
第18条 署長は、全ての救急活動についてその活動が適切であったかを事後検証しなければならない。
2 救急救命士が救急救命処置を実施した場合の事後検証は、北薩救急業務高度化協議会が指定する検証医が行うものとする。
(医師の要請)
第19条 隊長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場に医師を要請し、必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(1) 傷病者の状態からみて搬送することが生命に危険であると認められる場合
(2) 傷病者の状態からみて搬送可否の判断が困難な場合
(3) 傷病者の救助にあたり、医療を必要とする場合
(ドクターヘリの要請)
第19条の2 通信指令課又は隊長は、鹿児島県ドクターヘリ運航要領に基づき、救急現場で医師による早期治療を要すると認める場合は、ドクターヘリを要請することができるものとする。
2 ドクターヘリの要請に関し必要な事項は、別に定める。
(防災ヘリの要請)
第19条の3 通信指令課職員は、傷病者が収容されている医療機関の医師から第24条に定める転院搬送の要請があった場合であって、傷病者の症状、搬送時間又は救急体制の確保等から防災ヘリによる搬送が有効であると認めるときは、防災ヘリを要請することができるものとする。
2 防災ヘリの要請に関し必要な事項は、別に定める。
(医師の同乗要請)
第20条 救急自動車への医師の同乗要請は、次に掲げる場合に行うことができるものとする。
(1) 傷病者の搬送途上、容態の急変により一時的な医療処置を受けに立寄った医療機関の医師が、目的医療機関まで医療を継続する必要を認めた場合
(2) 救急現場にある医師が、医師の管理のもとに医療機関に搬送する必要を認めた場合
(3) 前2号に定めるもののほか、隊長が傷病者の状態から医師の同乗が必要であると認めた場合
(救急現場付近にある者への協力要請)
第21条 救急隊員は、救急現場において救急活動上緊急の必要があると認められる場合は、付近にある者に対し協力を求めるものとする。
(医療機関の選定)
第22条 傷病者の搬送は、傷病者の症状に適応した医療が速やかに施しうる最も近い医療機関を選定するものとする。ただし、傷病者又は家族等から特定の医療機関へ搬送を依頼された場合は、傷病者の症状及び救急業務上の支障の有無を判断し、可能な範囲において依頼された医療機関に搬送することができる。
(収容の優先)
第23条 傷病者が複数の場合は、隊長判断により生命の危険が切迫する傷病者から搬送するものとする。
(転院搬送)
第24条 現に医療機関にある傷病者を医療上の理由により他の医療機関に搬送する場合(以下「転院搬送」という。)は、当該医療機関の医師の要請で、かつ、搬送先医療機関が確保されている場合に行うものとする。
2 前項の転院搬送は、要請のあった医療機関の医師を同乗させるものとする。ただし、医師による病状管理の必要がないときは、医師の指示を受けた看護師にかえることができる。
3 市内の転院搬送で、当該医療機関において、病状の悪化防止のための必要な措置が施されており、医師が同乗の必要を認めない場合は、医師の同乗を要しないものとする。
(関係者の同乗)
第25条 救急隊員は、未成年者又は意識等に障害があり正常な意思表示ができない傷病者を搬送する場合は、原則として関係者に同乗を求めるものとする。
2 救急隊員は、救急業務の実施に際し、関係者又は警察官が同乗を求めたときは、努めてこれに応ずるものとする。
(搬送拒否の取扱い)
第26条 救急隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者又は関係者が搬送を拒んだ場合は、これを搬送しないものとする。
(身元の確認)
第27条 傷病者が意識等に障害があるため、所持品により身元の確認を行う場合は、警察官又は医師の立会いのもとに行い、特に所持品の取扱いについては十分留意するものとする。
(死亡者の取扱い)
第28条 救急隊員は、傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合は、これを搬送しないものとする。
(現場保存)
第29条 隊長は、救急業務の実施に際し、傷病の原因に犯罪の疑いがあると認めた場合は、速やかに所轄の警察署長に通報するとともに、努めて現場保存に留意しなければならない。
(特殊傷病者の取扱い)
第30条 特殊傷病者の取扱いについては、次によるものとする。
(1) 感染症の患者等 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)の規定による一類感染症、二類感染症(結核を除く。以下同じ。)及び指定感染症(同法第7条の規定により同法第19条又は第20条の規定が準用されるものに限る。)の患者(同法第7条の規定により同法第8条の規定が準用される指定感染症の疑似患者及び無症状病原体保有者並びに同法第8条の規定により一類感染症又は二類感染症の患者とみなされるものを含む。)並びに新感染症の所見がある者である場合は、搬送しないものとする。ただし、保健所との協定に基づき、移送の要請がなされた場合は、この限りでない。
(2) 精神障害者 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に定める精神障害者は搬送しないものとする。ただし、他に傷病があり、その生命が危険な場合又はその状況が悪化するおそれがあると認められる場合は、保護義務者又は警察官により救急隊員の安全が確保された上でこれを搬送することができる。
(3) 麻薬等の中毒者 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条に定める麻薬中毒者及び覚醒剤その他により中毒症状を呈する者の搬送はしないものとする。ただし、他に傷病がある場合は、前号ただし書に準ずるものとする。
(4) 放射線等による事故者 放射線同位元素(以下「放射線物質」という。)の貯蔵施設等において放射性物質により汚染を受けた者の搬送は、放射線管理者等と密接な連携を図り行うものとする。
(5) 前各号に定めるもののほか、特殊な傷病者を対象とする場合は、関係機関又は関係者と密接な連絡をとり、適切な措置を講ずるものとする。
(要保護者等の取扱い)
第31条 傷病者が生活保護法(昭和25年法律第144号)第6条に定める被保護者及び要保護者又は行旅病人及行旅死亡人取扱法(明治32年法律第93号)第1条に定める行旅病人である場合は、救急事故が発生した場所又は傷病者の居住地を管轄する福祉事務所等の関係機関に連絡するものとする。
(酩酊者の取扱い)
第32条 隊長は、単に酩酊(急性アルコール中毒を除く。)のみで他に傷病がないと判断したときは、警察官又は関係者に保護を依頼し、これを搬送しないものとする。
(関係者への連絡)
第33条 救急隊員は、傷病者の状況等により必要があるときは、関係者に連絡するよう努めるものとする。
(多数傷病者発生時の救急活動)
第34条 救急事故により、同時に多数の傷病者が発生したときの救急活動については、この訓令に定めるほか、消防計画で定める。
(応援の出場及び要請)
第35条 局長は、救急業務に関し消防組織法(昭和22年法律第226号)に基づく消防相互応援協定が締結されている場合は、当該協定の定めるところにより応援の出場又は要請をすることができる。
(火災現場等における救急隊の任務)
第36条 火災及び災害現場に出場した救急隊は、原則として救護を任務とする。
第5章 健康管理等
(救急隊員の健康管理)
第37条 救急隊員は、常に自己の健康状態を最良に保持するよう努めなければならない。
2 課長又は署長は、救急隊員が救急活動に従事したときは、必要に応じ次に掲げる措置を講じ、健康管理に万全を期さなければならない。
(1) 帰署後、速やかに洗身、洗眼、切傷の消毒等を励行させること。
(2) 第30条第1号に定める感染症の患者等の疑いのあるもの等を搬送した場合は、必要な消毒を行うほか、医師の診断を受けさせること。
(3) 放射性物質貯蔵施設等で救急活動に従事したときは、医師の診断を受けさせること。
(安全管理)
第38条 救急現場における安全管理の主体は、救急隊員とする。
2 救急隊員は、安全確保の基本が事故の管理にあることを認識し、救急現場における安全監視、危険要因の排除等二次的災害の防止に努めなければならない。
(消毒)
第39条 課長又は署長は、次に定めるところにより、救急自動車及び救急資器材の消毒を行うものとする。
(1) 定期消毒 月1回
(2) 使用後消毒 毎使用後
(3) 特別消毒 随時
2 課長又は署長は、前項第1号による消毒をしたときは、その旨を別に定める消毒実施表に記録するとともに、救急自動車内の見やすい場所に標示するものとする。
3 この訓令に定める消毒に必要な消毒器具等は、救急隊を配置する場所に置くものとする。
第6章 救急教育及び指導
(救急隊員の教育及び訓練)
第40条 署長は、所属救急隊員の救急知識及び技術の向上を図るため、必要な教育を行うよう努めなければならない。
(救急研究会)
第41条 課長及び署長は、救急業務等に関する知識及び技術の向上を図るため必要と認めた場合は、救急研究会を開くことができる。
2 課長及び署長は、前項の救急研究会を実施した場合は、その結果を局長に報告するものとする。
(救急知識等の普及)
第42条 局長及び署長は、救命率向上に資するため、積極的に応急手当の普及啓発活動を実施するものとする。
第7章 調査等
(救急調査)
第43条 署長は、救急業務を円滑に遂行するため、次の調査を実施するものとする。
(1) 医療機関実態調査
(2) 救急事故多発箇所の地勢及び交通量等の調査
(3) 救急病院の申出に関する調査
(4) 前3号に掲げるもののほか、必要と認める調査
第8章 報告等
(証人等の出頭)
第44条 職員は、救急業務に関して司法機関、捜査機関等から法令に基づき出頭、供述又は資料の提出を求められた場合は、局長の許可を受けなければならない。
2 職員は、前項の出頭等に応じたときは、局長に報告するものとする。ただし、軽易な照会等にあっては、この限りでない。
(出場報告等)
第45条 隊長は、救急業務を実施したときは救急報告書(別記様式)により署長に報告するものとする。
2 署長は、管轄区域内において次に掲げる救急事故が発生した場合は、直ちに局長に報告するものとする。
(1) 死者5人以上の救急事故
(2) 死者及び負傷者の合計が15人(交通事故又は急病の場合にあっては30人)以上の救急事故
(3) 前2号に掲げるもののほか、社会的に影響度が高い救急事故
第9章 統計
(救急統計)
第46条 課長又は署長は、所属の救急隊が取り扱った救急事故について、1箇月間の状況を集計し、局長に報告するものとする。
2 課長は、前項の報告に基づき救急年報を作成するものとする。
第10章 雑則
(その他)
第47条 この訓令に定めるもののほか必要な事項は、別に定める。
附則
この訓令は、平成16年10月12日から施行する。
附則(平成21年12月1日消防訓令第4号)
この訓令は、令達の日から施行する。
附則(平成23年12月22日消防訓令第1号)
この訓令は、平成23年12月26日から施行する。
附則(平成26年10月1日消防訓令第8号)
この訓令は、令達の日から施行する。
附則(平成27年3月10日消防訓令第1号)
この訓令は、平成27年4月1日から施行する。
附則(平成27年3月25日消防訓令第2号)
この訓令は、令達の日から施行する。