第7章 みんなで進める市民参画のまちづくり

第1節 市民参画の推進

 <現状と課題>
 これまで,市民生活の充実や教育,文化,まちづくりなどの公共事業等は,行政が主体的に担ってきました。しかしながら,近年,地方分権の進展による市町村への権限移譲等に伴い,実効性の高い行政を機動的に展開することが求められるようになっており,本市においても,行政主導型から,市民と行政とが一体となってまちづくりに取り組む市民との「協働型」のまちづくりへと転換していくことが重要な課題となっています。
 このため,市民のニーズを的確にとらえ,それにこたえながら,行政の考え方や取組について,より早くより正確に情報提供することで,市民と行政との信頼関係を確立し,市民との協力関係(パートナーシップ)を構築していく必要があります。

<施策の体系>

<計画の内容>

1 市民参画の推進

 (1) 開かれた市政の推進

  ア 自治基本条例の制定
 市政経営の基本理念を定め,市民と行政との役割分担や市民の市政への参画の在り方等を明らかにするための自治基本条例(仮称)の制定に向けた検討を進めます。
  イ 情報公開制度の充実
 情報公開制度の充実及び適正な運用に努め,市民の「知る権利」を最大限に尊重した,開かれた市政の推進を図ります。また,合併前の市町村が保有してきた公文書も含め,本市の公文書,刊行物を体系的に保存し,市民の利用に供するため,公文書館(仮称)を設置し,情報資源の確保を図ります。
  ウ 個人情報保護制度の充実
 個人情報保護制度の充実及び適正な運用に努め,個人情報の不適正な取扱いや誤った個人情報の利用により,市民の権利・利益が侵害されることのないようにするとともに,自己の個人情報の開示等本人関与の仕組みの充実に努めます。

 (2) 市民と行政とのパートナーシップの形成
 各種ボランティアなどの市民活動の促進や地区コミュニティ協議会,自治会,まちづくり団体等の支援・育成に努めるとともに,表彰制度や市民参画のためのイベント・セミナー等を実施し,市民の自主的な市政参画活動への意識の啓発及び参加を促進します。

2 広聴広報の充実

 (1) 広聴制度の充実
 市民の多様な意見や提言を適切に市政に反映させるため,地区コミュニティ協議会,ふれあい市民会議(市長との対話集会),女性50人委員会※,市政モニター,パブリック・コメント,ご意見箱等の制度を活用して広聴機能を充実するほか,各種審議会委員等について市民からの登用を進めるなど,政策形成過程への市民の参画機会の拡充を図ります。
※女性50人委員会⇒薩摩川内市女性50人委員会。女性の立場から行政と市民に対して提言するなどの活動を行う組織。一般公募,地域推薦により構成

 (2) 広報制度の充実
 市政に関する情報を,迅速かつ分かりやすく市民に伝えるため,広報紙,ホームページ等の多様な媒体を活用して,市政広報活動の充実・強化を図るともに,市民の市政への参画の促進につながるような情報提供に努めます。

第2節 男女共同参画社会の形成

 <現状と課題>
 少子・高齢化の進行,情報化・国際化の進展など社会経済環境が大きく変化している中で,男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い,ともにまちづくりへ参画できる社会の実現が求められています。
 しかしながら,法律・制度上では男女平等がほぼ達成されつつあるものの,性別による固定的な役割分担意識やこれに基づく社会通念や慣行が依然として根強く残っています。
 このため,男女が性別にとらわれることなく,対等な社会の構成員として,共に認め合い,支え合いながら,あらゆる場において,「個人の尊重」と「男女平等」に基づき,その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の形成を積極的に進めていく必要があります。
 我が国においては,平成11年6月に,男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とした「男女共同参画社会基本法」が制定され,平成12年12月には「男女共同参画基本計画」が策定されています。
 本市においても,平成17年4月に男女共同参画基本条例を施行するとともに,男女共同参画都市の宣言を行い,女性の立場から行政と市民に対して提言する「女性50人委員会」を設置しました。今後は,平成18年3月策定予定の「薩摩川内市男女共同参画基本計画」に沿って,更なる男女共同参画社会の形成に向けた各般の取組を進めていくことが必要です。

<施策の体系>

<計画の内容>

1 男女共同参画の視点に立った人権の尊重

 (1) 女性の人権の尊重
 暴力は人権を侵害するものであり,決して許されるものではなく,また,女性の性的側面のみが強調される性の商品化は女性の基本的人権を侵害するものであるという認識の周知を図るとともに,関係機関との連携により相談体制の充実等に努めます。

 (2) 男女共同参画の視点に立った教育・学習の推進
 男女平等や人権,ジェンダーについての認識を深める社会教育を進めます。また,人権尊重やジェンダーの視点に立った子育て,教育の推進を通して,無意識のうちに形成される性別にとらわれた従来の意識や価値観の解消が,「個人の尊重」と「男女平等」の実現にとって大きな課題であるという認識の浸透を図ります。
※ジェンダー⇒生物学的,医学的な性別(sex)に対して,社会的,文化的に形成された性別(gender)のこと。例えば,「男は仕事,女は家庭」など個人ではなく性別によりその役割を決め付けることなどは,ジェンダーが根底にあると言われている。

 (3) 男女共同参画を阻害する行為に対する対策の展開
 ドメスティック・バイオレンスやセクシュアル・ハラスメントなど男女共同参画を阻害する行為は,性別による固定的な役割分担意識や男女間の経済力の差などの様々な要因により引き起こされることから,その実態を把握し,幅広い分野にわたる関係機関の連携により,被害者の保護と自立に向けた支援等の対策を講じるとともに,加害者の更正方法等の調査・研究を進めます。
※ドメスティック・バイオレンス(DV)⇒婚姻しているかいないかにかかわらず,親密な関係にある夫婦や恋人間で行われる暴力のこと。
※セクシュアル・ハラスメント⇒相手の意に反する性的な言動により,その言葉を受けた者の日常生活や正常な能力の発揮などを妨げること,またはその者の対応の仕方によって,その者に対して不利益を与えること。

2 女性が個性と能力を発揮できる機会の提供

 (1) 性別による固定的な役割分担意識等の解消
 「男だから,女だから」といった性別による固定的な役割分担意識を解消するため,社会生活において長年にわたり踏襲されてきた慣行・しきたりについての実態を把握し,男女共同参画の視点に立った見直しを図ります。

 (2) 家庭生活と職業生活,地域活動との両立
 仕事と子育てや家族の介護などとを両立できるようにすることが,女性が安心して子どもを産み育て,いきいきと暮らしていく上で重要であることから,仕事と家庭の両立を支援するための各種制度の普及・定着に努めるとともに,家庭や職場,地域などにおいてこれらの両立を支援する気運の醸成等を図ります。

3 男女共同参画社会の実現に向けた体制等の整備

 (1) 政策等の決定過程への参画の促進
 あらゆる分野における意思決定過程への女性の参画を促進するため,女性自らの能力・意識の向上等に向けた学習機会の提供等により人材の育成を図るとともに,多様な分野において活躍する人材としての女性の情報を収集し,各種審議会や自治組織等における積極的な登用を進めます。
 また,市民生活に身近な女性の声を市政に幅広く反映させるため,女性50人委員会の活用に努めます。

 (2) 男女共同参画行政の推進体制の整備
 男女共同参画行政に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため,国,県,市及び広域市町村圏,事業者並びに市民による協働体制を構築します。