○清浦ダム操作規程
平成16年10月12日
訓令第52号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 ダムの水位等(第4条―第6条)
第3章 貯水及び放流(第7条―第11条)
第4章 洪水調節(第12条―第19条)
第5章 非常事態における措置(第20条―第22条)
第6章 ゲートの操作(第23条―第25条)
第7章 点検及び整備等(第26条・第27条)
第8章 観測及び記録等(第28条・第29条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この訓令は、清浦ダム(以下「ダム」という。)の維持、操作その他管理に必要な事項を定めるものとする。
(管理主任技術者)
第2条 ダム管理事務所に、河川法(昭和39年法律第167号。以下「法」という。)第50条第1項に規定する管理主任技術者(以下「主任技術者」という。)を置く。
2 主任技術者は、所掌する職員を指導監督して法及びこれに基づく命令並びにこの訓令の定めるところによりダムの管理を適確に行わなければならない。
(ダムの諸元)
第3条 ダムの諸元は、次のとおりである。
河川名 | 樋脇川(一級河川) | ||
位置 | 鹿児島県薩摩川内市入来町浦之名 | ||
ダム型式 | 重力式コンクリートダム | 堆砂量 | 145,000m3 |
堤高 | 38.1m | 計画満水位 | EL 201.3m |
堤長 | 66.5m | 計画洪水位 | EL 201.3m |
上流面勾配 | 1:0:08 | 最低水位 | EL 189.0m |
下流面勾配 | 1:0:82 | ダム天端高 | EL 203.1m |
堤頂幅員 | 4.0m | 越流部標高 | EL 198.6m |
堤体積 | 23.175m3 | 基礎標高 | EL 165.0m |
基礎地質 | 輝石安山岩 | 第1放水ゲート | φ 2,200×1門 |
集水面積 | 8.7km2 | 第2放水ゲート | φ 1,400×1門 |
総貯水量 | 1,000,000m3 | 洪水吐左右ゲート | 3,800×3,400×2門 |
有効貯水量 | 855,000m3 | 洪水吐中央ゲート | 3,500×3,400×1門 |
第2章 ダムの水位等
(出水期及び非出水期)
第4条 出水期及び非出水期は、次に規定する期間とする。
(1) 出水期 毎年6月11日から10月31日まで
(2) 非出水期 毎年11月1日から6月10日まで
(水位測定)
第5条 ダムの水位は、ダム本体の上部に取り付けられた水位計により測定するものとする。
(出水期における常時水位)
第6条 ダムは、平常時においてはゲートを開放の状態にしておかなければならない。
第3章 貯水及び放流
(貯水の制限)
第7条 ダムに流入する水は、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、貯溜するものとする。
(1) 第16条の規定により洪水調節を行う場合
(2) 第19条の規定により流水調節を行う場合
(放流)
第8条 ダムから放流を行うときの放流量は、流入量を超えてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、これを超えて放流することができるものとする。
(2) 第21条第2号の規定による非常放流を行う場合
(放流に当たっての心得)
第9条 主任技術者は、前条ただし書の規定による放流(以下「洪水調節等のための放流」という。)を行う場合においては、放流により下流に急激な水位の変動を生じないよう努めるものとする。
(放流の決定)
第10条 主任技術者は、洪水調節等のための放流を行う場合における放流時期及び放流量の決定を行う。
(放流に関する通知等)
第11条 主任技術者は、洪水調節等のための放流を行うとするときは、次に定めるところにより行わねばならない。
(2) 別表第2に定める各警報所のサイレンは、放流開始の約30分前及び放流直前に次により吹鳴するものとし、放送により放流開始並びに終了を伝達する。
第4章 洪水調節
(洪水)
第12条 洪水とは、ダムへの流入量が毎秒30立方メートルを超える出水をいう。
(ダムの利用)
第13条 洪水の調節は、原則として標高189メートルから標高201.3メートルまでの容量855,000立方メートルを利用して行うものとする。
(洪水警戒体制)
第14条 主任技術者は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、洪水警戒体制をとらなければならない。
(1) 鹿児島地方気象台から降雨に関する注意報又は警報が発せられたとき。
(2) 前号に掲げるもののほか、洪水が予想されるとき。
(洪水警戒体制時における措置)
第15条 主任技術者は、前条の規定により洪水警戒体制に入った時は、次に定める措置をとらなければならない。
(1) 鹿児島地方気象台その他関係機関との連絡並びに気象、水象に関する観測及び情報の収集を的確かつ迅速に行うこと。
(2) ゲート並びにゲートの操作に必要な機械及び器具の点検、整備その他ダムの操作に関し、必要な措置をとること。
(洪水調節)
第16条 主任技術者は、ダム流入量が毎秒30立方メートルに達した後は、別表第1に定める関係機関と密接な連絡をとり、下流地点(鹿子田)の河川流量、水位に注意し、これを危険水位以下に保つよう洪水調節を行わなければならない。
(洪水調節後における水位の低下)
第17条 主任技術者は、前条の規定により洪水調節を行った後は、なるべく速やかに水位を常時水位に低下させるため、ダムから放流しなければならない。
(洪水に達しない流水調節)
第19条 主任技術者は、気象、水象その他の状況によりやむを得ないと認める場合は、洪水に達しない流水についても調節を行うことができる。
第5章 非常事態における措置
(1) ダムの水位が標高201.3メートルを超えた場合
(2) ダムに重大な危険を生じた場合
(2) ダムの水位が計画洪水位(標高201.3メートル)を超えた場合、その他ダムの安全上やむを得ないと認めた場合は、非常放流を行うこと。
(3) ダムに異常を認めた場合は、その補修に努めること。
第6章 ゲートの操作
(平常時の操作)
第23条 平常時における各ゲートの操作は、次に定めるところにより行うものとする。
(1) 第1放水ゲート(口径2,200ミリメートル)及び第2放水ゲート(口径1,400ミリメートル)は、全開とする。
(2) 洪水吐右ゲート(幅3,800ミリメートル)及び中央ゲート(幅3,500ミリメートル)は、全開とする。なお洪水吐左ゲート(幅3,800ミリメートル)は、全閉とする。
(1) 始めは第1放水ゲート、第2放水ゲート、洪水吐右ゲート及び中央ゲートを全開にしておく。
(2) ダムへの流入量が増加し、ダムの水位が標高192メートルに達したときは、第2放水ゲートを徐々に閉じ全閉する。
(3) 流入量が更に増加し、ダムの水位が標高196.2メートルに達したときは、下流地点の水位が危険水位を超えないように、貯水位が標高198.6メートルに至るまでに第1放水ゲートを徐々に閉じ全閉する。
(4) 流入量が更に増加し、ダムの水位が標高200.6メートルに達し、計画洪水位を超えると想定されるときは、洪水吐左ゲート(幅3,800ミリメートル)を徐々に開き、ダムの水位を計画洪水位以下に保つように努める。この場合において、ダムからの放流量は、流入量を超えてはならない。
(5) ダムの水位が標高200.6メートルに達する前にダムへの流入量が減少し、放水量が流入量を超える場合は、洪水吐右ゲート、中央ゲートの順序で徐々に閉扉し、放水量が流入量を超えないように調節しなければならない。
(6) 洪水調節後ダムへの流入量が減少し、下流地点の水位が危険水位以下となった場合は、当該地点の安全を確認後、放水ゲートを徐々に開扉し、水位を下げ次の洪水に備える。開扉の順序は、閉塞の場合と同様とする。
(非常放流時の操作)
第25条 第21条第2号の規定による非常放流時における放水ゲートの操作は、次に定めるところにより行うものとする。
(1) ダムの水位が計画洪水位を超え、洪水吐ゲート3門で排水できず、やむを得ない場合に限り、第1放水ゲート、第2放水ゲートの順序で徐々に開扉し放流する。
(2) ダムへの流入量が減少し、放水量が流入量を超える場合は、放水ゲート(第2、第1)洪水吐ゲート(左、右、中央)の順序で徐々に閉扉し、放水量が流入量を超えないように調節しなければならない。
(3) ダムに重大な危険を生じやむを得ない場合は、ゲートを開扉し、水位を低下させることができる。
第7章 点検及び整備等
(点検及び整備)
第26条 主任技術者は、別表第3に定めるダム管理に必要な施設等の点検整備を行わなければならない。
(ダム及びその周辺の監視)
第27条 主任技術者は、ダム及びその周辺について常に監視を行い、その維持及び保全に支障を及ぼす行為の取締り並びに危険防止に努めなければならない。
第8章 観測及び記録等
(調査又は観測)
第28条 主任技術者は、別表第4に定める調査又は観測を行わなければならない。
附則
この訓令は、平成16年10月12日から施行する。
別表第1(第11条、第16条、第18条、第21条、第22条関係)
清浦ダム放流に関する通知機関
通知の相手 | 通知の方法 | 備考 | |
名称 | 担当機関の名称 | ||
鹿児島県知事 | 川薩耕地事務所 | 電話 |
|
〃 | 川内土木事務所 | 〃 |
|
薩摩川内市長 | 入来支所 | 〃 |
|
〃 | 樋脇支所 | 〃 |
|
〃 | 薩摩川内市役所 | 〃 |
|
川内警察署長 | 川内警察署 | 〃 |
|
〃 | 入来派出所 | 〃 |
|
薩摩川内市消防局長 | 東部消防署 | 〃 |
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国土交通省九州地方整備局長 | 川内川河川事務所 | 〃 |
|
別表第2(第11条、第18条、第21条、第22条関係)
警報所サイレン及び放送施設
名称 | サイレン | 放送 | 位置 | 構造及び能率 |
黒武者警報所 | ○ | ○ | 薩摩川内市入来町浦之名黒武者 (前川内川右岸) | サイレンSPC―A型 3.7kW 放送レフレックス スピーカー70W×2個 |
鹿子田警報所 | ○ | ○ | 薩摩川内市入来町浦之名鹿子田 (前川内川左岸) | サイレンSPC―A型 3.7kW 放送レフレックス スピーカー70W×2個 |
入来支所警報所 | ○ | ○ | 薩摩川内市入来支所 (庁舎屋上) | サイレンSPC―A型 3.7kW 放送レフレックス スピーカー70W×2個 |
別表第3(第26条関係)
ダム管理に必要な施設等の点検及び整備
対象施設区分 | 施設内容 | 点検及び整備を必要とする回数 | 備考 |
ダム本体及びゲート施設 | ダム本体・ゲート・発電気 エンジン・電気設備等 | 毎月1回 | ゲートは、適時試運転を実施のこと。 |
警報施設 | サイレン・放送施設等 | 毎月1回 | 洪水警戒体制時には随時点検のこと。 |
通信施設 | テレメーター装置 無線連絡装置等 | 毎月1回 | 〃 |
観測施設 | 水文観測機器 堤体内埋没計器 | 毎週1回 |
|
警戒立札 | 放流警報板 | 毎年2回 |
|
その他 | 池内巡視船 (モーターボート)等 | 毎月1回 |
|
別表第4(第28条関係)
清浦ダム観測施設
(施設)
観測すべき事項 | 観測施設 | 観測回数 | 摘要 | ||
名称 | 位置 | 構造又は能力 | |||
流入水位 | 清浦ダム水位観測所 | 薩摩川内市入来町浦之名5120 (清浦ダム) | 有線遠隔自記触針型水位計 | 毎日(洪水時、洪水警戒時においては、少なくとも30分に1回) | 流水量は、水位観測所の結果に基づきそれぞれ算定する。 |
水位及び流量 | 清浦水位観測所 | 薩摩川内市入来町浦之名5210―5 | 無線式テレメーター付現場自記水位計 | ||
鹿子田水位観測所 | 薩摩川内市入来町浦之名2475―2 | 〃 | 〃 (〃) | ||
内之尾水位観測所 | 薩摩川内市入来町浦之名4929―14 | 〃 | (〃) | ||
降水量 | 清浦雨量観測所 | 薩摩川内市入来町浦之名5210―5 | 無線式テレメーター付転倒マス雨量計(自記) | 毎日 | |
入来支所雨量観測所 | 薩摩川内市入来町浦之名33 | 自記雨量計(1週巻) | 〃 | ||
内之尾雨量観測所 | 薩摩川内市入来町浦之名4929―14 | 無線式テレメーター付転倒マス雨量計(自記) | 〃 |
(調査又は観測)
調査又は観測事項 | 観測回数 | 備考 |
降雨量、貯水位、ダム流入量、水位下流地点(鹿子田)、流量水位 | 毎月 | 流入量は、水位より換算する。 |
漏水量 | 毎月1回 |
|
洪水調節時の効果 | 随時 |
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貯水池内及びその末端付近の堆砂状況 | 年1回 |
|
揚圧力 | 3箇月1回 |
|